正社員でも保ちにくいモチベーションを、パートやアルバイトなど非正社員に求めるのは、さらに難しいことです。
現場のハイモチベーションを維持するためには、従業員それぞれのやる気を引き出して高めることが必要であり、どの企業にとっても避けることのできない重要な課題となっています。
今回は、一時期ニュースで話題となった、離職率の低さで知られるスターバックスの人材育成の内容について見てみましょう。そして我々の日常の中に取り入れることができるヒントがないか、もう一度探してみましょう。
ポイント①◇研修に80時間の時間をかける
通常、社員研修に割かれる時間は2~3日ですが、スターバックスはどんな社員も約80時間に及ぶ研修を受けることが決められています。(正社員であっても、学生のアルバイトであってもです。)
スターバックスの基本理念「お客様に感動経験を提供して、人々の日常に潤いを与える」を実現するため、まず研修ではコーヒーの淹れ方やドリンクのレシピではなく、スターバックスの歴史を学びます。そこでこれまでのスターバックスを知り、これからの自分の仕事の仕方を考えてもらうのだそうです。
社員が働きやすい環境を整えて、そこではじめて、いいサービス・いい商品が生まれます。それが巡って顧客満足や社会貢献の実現につながるのです。
これを組織として行うことで、一人ひとりの成果を生み出すことができるといいます。
ポイント②◇研修をやりっぱなしにしない
80時間の研修のあとに行われるのが、「是正」と「強化」のフィードバックです。
うまくいかなかったときには、相手を責めることではなく、うまくいくためにどうすればよかったのか、他に考えられることはなかったのかについて気づいてもらうため、問いかけ、取った行動と取るべき行動を考えさせます。また、ここですぐに答えを与えないで、自分の頭で考えて行動させるようにすることで、次からも自分で考え、物事を解決することができるようになります。
それに対して、うまくいったときには、よい行動に対して単純にほめるのではなく、何がどうよかったのか、どんな行動が結果に結びついたのかを本人に問いかけます。よかったことをそのままにせず分析させることで、よい行動を慣習化することができます。
ポイント③◇緊張感を持ったチームをつくる
研修を受けたスタッフたちは、自分たちの仕事の仕方について考える道筋を得ることができました。研修の後、いよいよ実際の店舗での勤務が待っています。現場での仕事が始まるのです。
店舗では成果を求めるためにチーム作りを行いますが、単純に仲のよいチームであるだけでは、成果を生み出すことはできません。そこで、スターバックスでは以下の内容が保たれるようになっています。
◇目標を持つこと
◇1人1人の役割が決まっていること
◇お客様のために働くという意識を持つこと
これらを慣習化することで、自分本位の考え方から抜け出すことができます。なおかつ、周りの状況を判断し、それぞれの社員が程よい緊張感を持って仕事をすることができるようになっています。
ポイント④◇3つのスキルを身につける
スターバックスでは、ポリシーとして「3つのスキル」を身につけられるよう、日々の仕事が進められています。
・自身を保ち、さらに高めていく
・相手の話を真剣に聞き、理解する努力を怠らない
・困った時は助けを求める
中でも「困った時は助けを求める」ことを重要視しています。これによって、自分を助けてもらうというよりも、「お客様のために助け合う」という目線で仕事をすることができるようになるといいます。
ポイント⑤◇「接する」接客であれ
スターバックスの接客の基本はまず「接する」ことです。そのため状況や対話から相手の気持ちを察し、ニーズを見出して行動することを、社員が自発的にできるような人材育成をしています。
まとめ
最初の研修がどんな社員にも80時間、というのが正直驚きでした。通常、アルバイトにそこまで時間をかけている会社はあまりないように思います。それこそがスターバックスの一番の特色ですね。
スターバックスの接客は、ドリンクのレシピなどのメニュー以外は基本的にマニュアルがないようです。しかし、「自分が現場でどう考え、どう行動するか」を追求する姿勢を研修で学ぶことで、「接客」を身につけているのでしょう。
個々の自主性や工夫が、正社員だけでなくアルバイト社員からも出てくることが、大きな強みになっています。
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