10月に入り、最低賃金の改定の対応を行って、9月分の厚生年金保険料の対応を行って、やっと一息つける…というところですが、早いもので年末調整の業務のための準備を始めるのにちょうどいい時期になってしまいました。

「まだ時間に余裕はあるし…」と思っていると、あっという間に11月になってしまいます。

そこで、まだ時間にも心にも余裕があるうちに、平成29 年分の年末調整における留意事項を確認してしまいましょう。

 

ポイント その1 給与所得控除額の改正に注意!

平成29年分の所得税の計算においては、給与収入が1,000万円を超えた場合の給与所得控除額として、220万円が上限となりました。

この改正に伴って「給与所得の源泉徴収税額表」「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」が改正されていますので、確認をしておく必要があります。

(平成29年1月1日以後に支払う給与等の源泉所得税は「平成29年分 源泉徴収税額表」を参照して計算していらっしゃるかと思います。給与計算システムを使って計算されている方はそのシステムに「平成29年分 源泉徴収税額表」の内容が反映されていること確認したうえで計算を行います。)

今回、平成29年分の年末調整の際には、「平成29年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使用して源泉所得税を計算することとなります。昨年のものと変更もありますので、同じものを使用することのないようにしましょう。

また、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得に関して源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて徴収し法定納期限までに源泉所得税とあわせて納付する必要がありますので、年末調整の際にも、復興特別所得税を含めた年税額を算出する必要があります。

 

ポイント その2 復興特別所得税の計算に注意!

年調年税額とは、年末調整によって確定した1年間に収めるべき所得税・復興特別所得税のことを指します。この年調年税額については、算出所得税額から住宅借入金等特別控除額を控除した後の税額(年調所得税額)に102.1%を乗じて算出します。

※このとき、古い源泉徴収簿や、復興特別所得税に対応していない給与計算システムを使用した際に、復興特別所得税が計算されていないということがないように注意が必要です。

 

ポイント その3 配偶者控除及び配偶者特別控除に関する改正があります(重要!平成30 年から)

平成30年から、配偶者控除及び配偶者特別控除に関する改正が行われています。平成 30 年1月以降の毎月(日)の給与支払の際には、下記のように取り扱う必要がありますので十分注意が必要です。

配偶者控除・配偶者特別控除の控除額が改正されました

配偶者控除の控除額が改正され、世帯主の所得からの満額控除(38万円)が適用される配偶者の所得の上限が、103万円以下から150万円以下に引き上げられました。

また、これまでは給与所得者の合計所得金額に関する配偶者控除の制限はありませんでしたが、今回から給与所得者の合計所得金額が1,000 万円を超える場合には、配偶者控除の適用を受けることができないこととなりました。

配偶者特別控除の控除額も改正され、特に、配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額は、改正前の38 万円超 76 万円未満 から38 万円超 123 万円以下へと変更になりました。

これまで税・健康保険の両方の扶養に入っていた配偶者が、健康保険のみの扶養になるというケースも発生する可能性が大いにありますので、今回の扶養控除申告書の記載内容を細かく確認し、従業員本人に適切な案内を行う必要があります。

扶養親族等の数の算定方法が変更となりました

給与等を支払う際に扶養親族等の数を算定したうえで源泉徴収額を計算していますが、その扶養親族等の数の算定に当たって、配偶者が源泉控除対象配偶者に該当する場合には、扶養親族等の数に 1 人を加えて計算することとなりました。

また、同一生計配偶者が障害者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算することとなりました。

各申告書の様式変更が行われました

「給与所得者の配偶者特別控除申告書」が「給与所得者の配偶者控除等申告書」に改められます。

平成 30 年分の年末調整において配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けようとする給与所得者から、申告書を提出する必要があります。また、他の申告書等についても記載事項の変更が行われる見込みですので、引き続き注意して確認していきましょう。

 

ポイント その4 給与支払事務所等の移転届出書に関する改正があります

「給与支払事務所等の移転届出書」について、移転後所在地の所轄税務署長への提出が不要となったことから、平成29年4月1日以後の移転に係る届出書については、移転前所在地の所轄税務署長へ提出すればよいこととなりました。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。平成30年の配偶者控除・配偶者特別控除の取り扱いが変更となりますが、そこが今回の大きな注意点です。

配偶者の所得額だけでなく従業員の所得額が、控除について大きく関わる部分となりますので、「これまでは大丈夫だったのに何故!?」と聞かれても的確に説明ができるよう、改正内容を把握しておく必要があります。(扶養の取り扱いについては別の機会にお話していこうと思います。)