この度の西日本を中心とした豪雨により、被災された皆様ならびにご家族の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

今なお避難されている皆様、復旧作業に従事されている皆様の安全と、被災地の一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。

私共の方で確認できた情報をまとめましたので、ご活用いただければと存じます。

 

事業所が災害により直接被害を受け、労働者が一時離職する場合の対応

一時的に離職を余儀なくされた方が、雇用保険の失業手当を受給できる特例措置が講じられています。

京都労働局発表(4ページ)

 

豪雨による災害に伴う経済上の理由により労働者を休業させる場合の助成金

厚生労働省では、平成30年7月豪雨に伴う経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用調整を行わざるを得ない事業主に対して、雇用調整助成金の特例措置を講じることとなりました。

平成30年7月豪雨の災害に伴う雇用調整助成金の特例について

 

従業員が出社できないときの対応

今回の豪雨により、被害は免れたものの従業員が出社できない場合にどのように対応すればよいか、といった質問も全国で上がっています。

豪雨の影響により事業所は被害がなく営業できる状態でしたが、豪雨の影響によって交通機関がストップしたために社員が出勤できなかった場合の社員の賃金は控除してよいのでしょうか。
休業手当などの支払いは必要になりますでしょうか。

私共の見解は下記の通りです。

(抜粋)

原則ノーワークノーペイで賃金を支払う必要はないでしょう。
ただし、労働契約や労働協約、就業規則等に社員が出勤できなかった場合の賃金の支払について定めがある場合は、それに従う必要があります。

一方で、社員の身の安全などを考慮し、会社の指示で出社しなくてよいと判断することもあるかと思います。この場合は、休業手当(平均賃金の100分の60以上)の支払が必要となります。

労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。ただし、天災事変等の不可抗力の場合は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払義務はありません。
ここでいう不可抗力とは、以下2つの要件を満たすものでなければならないと解されています。
(1)その原因が事業の外部より発生した事故であること、
(2)事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること

つまり、事業所が豪雨により浸水など直接被害を受けて休業する場合は、使用者の責とはならず、休業手当の支払いも不要となりますが、事業所の被害はなく営業できる状態で、会社が社員に休みの指示をしたとなれば、これは不可抗力という原因でなく、使用者の責による休業となりますので休業手当の支払が必要になるのです。
自然災害だからといって一律に不可抗力であると判断はせず、個別の状況をしっかりと確認した上で判断することが必要です。

人事メディア:自然災害時の賃金について

 

休業手当の計算方法

休業手当の具体的な計算方法についてご説明します。ここでは、最低限支給する必要がある金額を計算することとします。

  • 月額30万円(賃金締切日は末日、翌月払い)、休業が7月に10日発生した場合

まず、平均賃金を計算します。
30万円 × 3か月 ÷ 91日(4月→30日、5月→31日、6月→30日) ≒ 9790円10銭(小数第2位未満切捨て)

次に、この金額の6割を休業手当としますので、
9790円10銭 × 60% =5,934円(1円未満四捨五入)

休業期間が10日ですので、
5,934円 × 10日 = 59,340円 となります。

  • 1日のうち一部を休業した場合

労働した時間の割合で賃金が支払われていても、その額が平均賃金の6割に満たなければ、その差額を支払う必要があります。労働した時間に対して払われた賃金が平均賃金の6割以上であれば、それ以上支払う必要はないということです。

  • 時給・日給等の場合の計算方法

時給制や日給制、歩合給制等、月給制社員のように毎日就労していない社員の方については、上記の計算式では平均賃金が低くなってしまう場合があります。その際には、3か月間に支給された給与額を実際に労働した日数で除し、この金額の60%を平均賃金とします。

よって、時給1,000円で8時間勤務、過去3ヶ月にそれぞれ8日・10日・9日出勤していて、10日の休業期間が発生した場合を想定します。

まず、平均賃金を計算します。
1,000円×8時間 × 27日(8日+10日+9日) ÷ 27日(8日+10日+9日) × 60% = 4,800円

次に、この金額の6割を休業手当とし、10日分支給しますので、
4,800円 × 60% = 2,880円

2,880円 × 10日 = 28,800円 (☆) 
となります。

ここで、月給者と同様の計算式で計算すると、
1,000円×8時間 × 27日(8日+10日+9日) ÷ 91日(4月→30日、5月→31日、6月→30日) ≒ 2,373円62銭(小数第2位未満切捨て)

2,373円62銭× 60% =1,424円(1円未満四捨五入)

1,424円 × 10日 = 14,240円
となり、労働日数を用いた計算での支給金額(☆)と比較すると低くなるため、今回は労働日数を用いた計算で算出した額(28,800円)を平均賃金とします。

休業手当については、あくまで「6割以上を支給する」ことが定められていますので、それを超える金額を支給することに全く問題はございません。今一度、御社での計算方法をご確認くださいませ。