• 2019年9月25日
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昨今の働き方改革の動きの中で「テレワーク」という言葉にも耳慣れてきましたが、2020年に予定される東京オリンピック・パラリンピック開催時の交通混雑の回避のためにと、総務省、厚生労働省をはじめとした各省庁でテレワークの導入・実施が推奨されています。今回はテレワークを導入したいがまだ検討中という方に向けて、テレワーク導入時に注目したい労務管理についてご紹介します。

 

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テレワークを導入しないのは「勤怠管理・業績評価が難しいから」

エン・ジャパン株式会社では、従業員数300名未満の企業491社を対象に「テレワーク」についてアンケート調査を実施し、その結果テレワーク制度を導入している企業は14%と公表しました。(中小企業の「テレワーク」実態調査 ―『人事のミカタ』アンケート―)現状80%以上の企業ではテレワークを導入しない、または導入したいがまだ検討段階であるとの結果ですが、テレワークを導入していない理由について注目すると、28%の企業で「勤怠管理・業績評価が難しいから」と回答しています。

 

雇用契約を結んだ労働者が自宅等で働くテレワークのことを「雇用型テレワーク」と言いますが、雇用型テレワークを行う場合にも労働基準法、労働安全衛生法等の労働基準関係法令が適用されます。長時間労働を防ぐ配慮はもちろん、労災についても同様に扱う必要があり、つまりは労働実態の適正把握がテレワークの場合にも必要となります。

 

労働時間制度の適用

平成30年2月22日に公開された「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」では、通常の労働時間制度、事業場外みなし労働時間制度、裁量労働制の場合に留意しなければならないポイントについてまとめられています。特に、「中抜け時間」「フレックス」についてはテレワークの場合にどのように扱うべきか疑問に思われている方も多いのではないでしょうか?

 

通常の労働時間制度

原則として「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に基づいて適切に労働時間管理を行う必要があります。労働時間の記録方法については、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録によるもの等としており、やむを得ない場合のみ自己申告によるものでも認められます。

 

・中抜け時間

テレワークに際しては一定時間業務から離れる時間が生じやすいと考えられており(いわゆる中抜け時間)、この場合中抜けの開始と終了時間を報告することを義務付けるなどして休憩時間として扱い、労働者の求めに応じて始業・就業時間の繰り上げ繰り下げること(就業規則の記載が必要)、または休憩時間ではなく時間単位の年次有給休暇として取り扱うことが可能です(労使協定の締結が必要)。

ポイント

・中抜け時間はその始まりと終わりを報告させることで休憩時間として扱うことが出来る

・労働者の求めがあった場合には始業・就業時間の変更が可能(ただし就業規則の記載が必要)

・時間単位の年次有給休暇として扱うことも可能(ただし労使協定の締結が必要)

 

 

・勤務時間の一部をテレワークする場合の移動時間

午前は自宅でテレワーク、午後はオフィスに出勤するなど一日のうち一部をテレワークする場合、自宅ーオフィス間の移動が労働時間に該当するか否かは「使用者の指揮命令下に置かれている時間であるか否かによって、個別具体的に判断されることになる」とされています。移動時間が休憩時間として扱う場合、その移動について使用者の命令がなく単に労働者の都合によって移動し、その移動時間の自由利用が保障されている必要があります。ただし、この場合でも使用者の指示によってモバイル勤務(ノートPCやスマートフォンを利用して臨機応変に選択した場所で業務を行うこと)等を行った場合には労働時間に該当するので注意が必要です。

ポイント

・就業場所間の移動が使用者の命令によるものではない ⇒ 休憩時間

・自由利用が保証されている時間にモバイル勤務等に従事 ⇒ 労働時間

 

フレックスタイム制

労働者が始業及び就業の時間を決定し、生活と仕事のバランスをとりながら効率よく働くことの出来るフレックスタイム制においても、テレワークを活用することは可能です。たとえば、オフィス勤務の日は労働時間を長く充てて自宅勤務の日の労働時間を短くすることや、先述の中抜け時間についても労働者自らの判断で、中抜けの時間分始業・終業時刻を調整するなど、精算期間の範囲内で他の労働日に調整することが可能です。ですが、フレックスタイム制においても使用者は適切に労働時間の管理を行う必要があることには留意してください。

 

事業場外みなし労働時間制

テレワークにおいても事業場外みなし労働時間制は適用されますが、そのためには、労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事した場合において、使用者の具体的な指揮監督が及ばす労働時間を算定することが困難である必要があります。

「使用者の具体的な指揮監督が及ばす労働時間を算定することが困難である」とは・・・次の要件をいずれも満たす必要があります。

  1. 情報通信機器が使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと
  2. 随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと

 

裁量労働制

裁量労働制(専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制)の要件を満たし、制度の対象となる労働者についてもテレワークを行うことは可能です。

 

 

労働安全衛生法の適用

オフィスとは違う場所で業務に従事する場合にも、使用者は労働者の健康確保の為の措置を講じる必要があります。

具体的には・・・

  • 必要な健康診断とその結果等を受けた措置
  • 長時間労働者に対する意思による面接指導とその結果等を受けた措置、および面接指導の適切な実施の為の時間外・休日労働時間の算定と産業医への情報提供
  • ストレスチェックとその結果等を受けた措置 等々

 

また、業務に従事する環境にも注意が必要です。テレワークを行う作業場が使用者が業務の為に労働者に提供している場所以外の時には、事務所衛生基準規則、労働安全衛生規則、及び「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」の衛生基準と同等の作業環境となるようテレワークを行う労働者に助言等を行うことが望ましいとされています。

自宅作業だからと、作業環境を労働者に一任することは好ましくなく、オフィスの外でも業務に支障が出ない環境であるか否か留意する必要があります。

 

労災補償

テレワークを行う労働者についても、使用者の支配下にあることによって生じた災害は、業務上の災害として労災保険給付の対象となります。使用者側がこの認識を持つことももちろん大事ですが、テレワークを行う労働者についてはこの点を十分認識していない可能性があるため、使用者は周知を行うことが望ましいでしょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?出社を必要としないテレワークという働き方は、業務によっては向き不向きはありますが今後会社としても労働者としても需要が高まる働き方です。今回はオリンピック開催の為という名目で推奨されていますが、他にも育児・介護離職の予防自然災害等で出社困難な場合にも有効な働き方です。仕事をするのに場所を選ばないというのは労働から解放されないという見方も出来ますが、多様な働き方をすることは労働者の生活保障にも繋がります。

この機会に是非テレワーク導入を検討してみては?

 

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