• 2021年5月26日
  • その他

毎年4月は、様々なルール改訂が行われる時期です。

今年も、同一労働同一賃金の中小企業への適用開始や36協定等の署名押印不要化など、様々な制度改訂が行われています。

その中で、キャリアップ助成金についても改訂が行われています。

この記事では、2021年4月以降の取り組みに対するキャリアアップ助成金の支給要件等のルール改訂について見ていきます。

 

キャリアアップ助成金とは

「キャリアアップ助成金」とは、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成される制度です。(キャリアアップ助成金パンフレットより抜粋)

 

同一労働同一賃金など、非正規雇用労働者労働者の待遇改善について、国から様々な施策が打ち出されています。キャリアアップ助成金もその一環といえる政策であり、厚生労働省が企業に対して非正規雇用労働者の正規雇用への転換や処遇の改善を促すための動機付けを狙っています。

キャリアアップ助成金には、これまで次の7つのコースがありました。

 

  1. 正社員化コース
  2. 賃金規定等改定コース
  3. 健康診断制度コース
  4. 賃金規定等共通化コース
  5. 諸手当制度共通化コース
  6. 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  7. 短時間労働者労働時間延長コース

 

このうち、今回の改定で、3.健康診断制度コースが5.諸手当制度等共通化コースに統合され、同時に障害者正社員化コースが新設されたため、コースは引き続き7種類あります。

 

 

 

キャリアアップ助成金については、下記の記事もご参照ください。

「キャリアアップ助成金」を活用し、有能な人材を定着・確保しましょう

 

2021年適用の制度改訂内容

下記6点が改正内容です。

① 正社員化コース 支給要件の変更

② 正社員化コース 加算措置の変更

③ 障害者正社員化コース 新設

④ 諸手当制度等共通化コース 支給要件の変更

⑤ 選択的適用拡大導入時処遇改善コース 時限措置の延長

⑥ 短時間労働者労働時間延長コース 時限措置の延長

 

① 正社員化コース 支給要件の変更

転換前後6ヵ月での賃金上昇要件に変更があります。

これまでは、正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6か月と転換等後の6か月の賃金を比較して5%以上増額している必要がありましたが、今回の改定で、転換等前の6か月と転換等後の6か月の賃金を比較して3%以上増額していることに要件基準が引き下げられています。ただし、これまでは転換前後の賃金の算出の際には、基本給が減額されていない場合のみ、賞与を賃金に含めることができましたが、今回の改正からは増額の基準となる賃金には賞与は含めることができなくなります。

転換前後の賃金上昇幅の基準自体は引き下げになっていますが、一方で賞与を賃金に含めることができなくなっています。この変更により、賞与を除いた給与部分での昇給がなされていないとキャリアアップ助成金の支給対象外になる可能性がありますので、申請予定の方の昇給額については改めて確認する必要があるといえるでしょう。

 

② 正社員化コース 加算措置の変更

正社員化コースで支給額の加算措置のうち、

「若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合」の加算は加算対象外となります。

若者雇用促進法に基づく認定事業主とは、若者の採用・育成に積極的で若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働省が認定する「ユースエール制度」の認定を得た企業のことを指します。これまでは、認定を得た企業が35歳未満の者を正社員化コースで転換した場合には、1人当たり95,000円追加で支給される加算制度がありましたが、今回の改定によって廃止されました。

また、別の加算の要件にも変更が加わっています。これまでは、「勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定した場合」に支給額が加算されていましたが、そのほかに「短時間正社員制度を新たに規定する場合」も加算対象として認定されるようになりました。

 

③ 障害者正社員化コース 新設

障害者雇用安定助成金が令和2年度末をもって廃止されたことに伴い、キャリアアップ助成金に障害者正社員化コースが新設されました。下記の場合に支給申請が可能となります。

  1. 有期雇用労働者を正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換
  2. 無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換

支給額は正社員化コースと異なり、下表の通りです。

出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金が令和3年度から変わります~ 令和3年4月1日以降 変更点の概要~ 」


https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000761985.pdf

 

障害者正社員コースは、制度の内容は正社員化コースと類似している部分も多いですが、いくつかの点で大きく違います。

1つは、支給対象期間が6か月間*2で計12か月である点です。正社員化コースは転換日の前後6ヵ月で要件を満たしていた場合に助成金が支給されますが、障害者正社員化コースは転換後6か月を1期目、その後6ヵ月を2期目とし、1期目2期目それぞれで助成金支給があります。また、支給額にも違いがあります。転換の種類と、障害の程度によって支給額が決まります。

 

④ 諸手当制度等共通化コース 支給要件の変更

諸手当制度等共通化コースは、有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設け、適用した場合に助成対象となります。対象となる手当はこれまで11項目あったものが、以下の5項目になります。

1.賞与(6か月分相当として50,000円以上支給した場合)
2.家族手当(1か月分相当として1つの手当につき3,000円以上支給した場合)
3.住宅手当(1か月分相当として1つの手当につき3,000円以上支給した場合)
4.退職金(月3,000円以上の積み立てがある場合)
5.健康診断制度

5の健康診断制度のみ注釈がありませんが、こちらはこれまでキャリアアップ助成金制度の中で「健康診断制度コース」として独立していたものが、今回の改定で諸手当制度等共通化コースの中に組み込まれたものです。非正規雇用者に対して法定の健康診断以外に一定の健康診断制度を新たに規定した場合に助成対象となります。

 

⑤ 選択的適用拡大導入時処遇改善コース 時限措置の延長

選択的適用拡大導入時処遇改善コースは、非正規雇用従業員や短時間労働者に対して、労使合意のもと、年金や保険制度などの社会保険の選択的適用拡大を導入して被保険者とした事業主を対象とするコースです。このコースは、令和2年度限りとして期間限定で設置されていたコースですが、その期間が延長されます。延長後の期限は、従業員が100人を超える事業主は令和3年9月末まで(基本給増額に対する加算措置のみ令和3年9月まで)、それ以下の事業主は令和4年9月末までが対象となります。

 

⑥ 短時間労働者労働時間延長コース 時限措置の延長

短時間労働者労働時間延長コースは、有期雇用労働者等の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用した場合に助成を行うコースです。このコースは、令和2年度限りとして期間限定で設置されていたコースですが、その期間が延長されます。延長後の期限は、令和4年9月末となります。また、1年度1事業所当たり支給申請上限人数が15人から、45人までに拡大されます。

 

おわりに

今回の改定では、期間の延長や、コースの新設など、より支援を受けられる可能性を増やす方向で制度の見直しがありました。これを機に改めて、ご自身の会社でキャリアアップ助成金を受けられる項目がないか振り返り、職場環境改善に繋げていくきっかけにしてはいかがでしょうか。

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